薬事法に引っかかってしまうから、広告に「期待できる」は使えないって本当?

ダイエットに効果があるといわれている食品やサプリメント。

でもその広告のキャッチフレーズはズバリ「ダイエット効果が期待できる」とは言わなくて、何だか回りくどい言い方をしているなと思ったことはありませんか?実はこれ、薬事法(現・薬機法)をはじめとした各種の法律に抵触しないよう、表現を工夫しているのです。

食品の広告表現に影響する薬事法とはどのようなものか、注意するべき広告表現もあわせて説明します。

⇒エステの広告を作る時は薬機法(旧名薬事法)に気をつけよう

そもそも薬事法とは何なのでしょうか。一言でいえば、日本国内における「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「医療機器」に関する運用などについて定めた法律で、使用する人にとっての安全性と、体への有効性を確保するために設けられたものです。

公布されたのは昭和35年ですが、平成26年に薬事法等の一部を改正する法律が施行されたことで、名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と改め、今では「医薬品医療機器等法」あるいは「薬機法」などと略されています。

薬事法は普段の生活にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。たとえば毎日口にしている食品に限ってみても、何らかの形で薬事法が関わっていることがあります。ダイエット食品などはその一例です。ダイエットをする場合、食事制限や運動習慣などとともに、ダイエット関連のサプリメントなどを取り入れることがありますよね。

サプリメント自体は「医薬品」でも「医薬部外品」でもなく、「食品」に分類されるものですので、直接的に薬事法が関わってくることはありません。

しかし、広告などに「ダイエット効果が期待できます」などと表示してしまうと、たちまち薬事法に引っかかってしまうケースが生まれるのです。なぜならそれは、「効果が期待できる」と表示できるのが、医薬品と食品の中でも「特定保健用食品」と呼ばれるものに限られるからです。

もしそのサプリメントが特定保健用食品に該当していなければ、薬事法違反ということになってしまいます。

ここで、食品の種類について整理しておきましょう。普段口にするものは大別すると「医薬品(医薬部外品含む)」と「食品」の2つに分けられます。これ以外はありません。そして食品はさらに「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」「一般食品」のように分類されます。

このうち「一般食品」を除いた「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3つを総称して「保健機能食品」というのです。

保健機能食品は機能性の表示ができます。具体的に言うと、「特定保健用食品」は、特定の保健的な効果を得ようとしてその食品を食べた人が、その食品を摂取することでその効果が期待できるという内容を表示することが可能となります。

「特定保健用食品」に認定されるためには事業者の提出した医学的な裏付けデータに基づき、国の審査を経て合格しなければならず、許可されると商品にトクホマークを掲出することができます。「栄養機能食品」は、国の定めた栄養成分を一定の基準量含む食品であれば、事業者は特に申請や届け出をしなくても、自身の責任で含有している栄養成分を表示できるというものです。

「機能性表示食品」は、事業者が自身で算出した科学的データを事前に消費者庁に届け出るもので、特定の保健効果についての機能性について表示できるようになります。ただしこれは事業者の自己申告によるもので、国などの審査を経ているものではありません。

このように、特定の保健目的について「効果が期待できる」と表記できるのは、食品の中では「特定保健用食品」だけに限られます。しかも、この特定保健用食品に関しても、国の審査で「期待できる効果」として表示することを許可されたもの以外は効能効果を広告することはできません。

その意味で、医薬品や医薬部外品と食品とは、厳しい線引きで隔てられているのです。

宣伝文のほかにも、食品が薬事法に抵触するケースがあります。それは食品の中に、「①医薬品として使用される原材料が配合・含有されているもの」と、①の原料を含んでいなくても「医薬品的な効能効果を表示説明するもの」「アンプル形状など医薬品特有の形状であるもの(錠剤やカプセルを除く)」「用法用量が医薬品的であるもの」のいずれかに該当するものです。

もし商品にこのような扱いがなされている場合は、病気の治療や予防などを目的とした、いわゆる無承認無許可医薬品として薬事法違反となります。たとえばサプリメントの摂取方法として、「1日3カプセルを朝昼晩の食事の前にお召し上がりください」としてしまえば、これは「用法容量が医薬品的であるもの」という項目に抵触し、薬事法違反となります。

また、頭や肩、腰などの部位を示して「効果がある」などとするのも無承認無許可医薬品とみなされます。食品を販売、購入する際には、薬事法の観点から、これらの点に注意を払うことが必要です。

⇒薬機法(旧薬事法)で医薬品とみなされない食品の範囲

食品の広告表示に関する法律には、薬事法以外にも健康増進法や景品表示法などがありますので、総合的な観点から表現を考える必要があります。実際にどのような表現が違反する恐れがあるのか、いくつか例示してみます。

まず「期待できる」を使ってしまう例です。「この商品には、ビタミンcが豊富に含まれているので、インフルエンザの予防が期待できます」「食品に含まれる豊富なカルシウムにより、骨折を予防する効果が期待できます」などは、ともに栄養成分が含まれていることを示しているだけで、効果や効能に言及することはできません。

「特定保健用食品」として許可された食品であれば「期待できる」が使えますが、ビタミンcやカルシウムを保健的な効果の主因として示すことはありません。次に「医薬品として使用される原材料が配合・含有されているもの」に抵触してしまう表現です。

「このサプリは、漢方薬にも用いられている貴重な植物を、数種類ブレンドして製造しています」などは、「漢方薬」といっている時点で薬事法違反です。

直接的に言わなくても暗示することが薬事法に違反するケースもあります。「食品に含まれている元気成分は、大学病院でもその効果が認められたパワーを秘めており、疲労回復に役立ちます」という表現は、大学病院で認められた効果という事実を引用しているにすぎず、食品含有との因果関係が不明です。

消費者に効果を暗示し事実誤認させる表現として薬機法や、健康増進法、景品表示法などにも触れる恐れがあります。

健康や美容などに悩みを抱えている人にとって、「効果あり」などの広告表現はとても魅力的に感じられることがあります。しかし、その効果が医学的に何の根拠もない虚偽の内容であれば、効果が感じられないだけでなく重大な健康被害を招く恐れもあります。

そのリスクを防ぐために設けられたのが薬事法です。食品など口に入れるものには特に注意したいところ。作る側も使う側も、広告表現にはともに敏感でありたいものですね。