薬機法(旧薬事法)に違反しないために!ダイエットサプリの広告表現について解説
ダイエットサプリメントを作ったり売ったりする際には、その効果を最大限に表現して消費者に訴求したいですよね。しかし、ダイエットサプリメントの広告には様々な制限があります。うっかりNGワードを使用してしまうと、法令に違反し罰せられる恐れもあります。
どのような規制があるのでしょうか?詳しくみていきましょう。
ダイエットという英語は「日常の食物」という意味を持ちますが、日本では一般的に食べる量を制限するなどして減量することを指します。テレビや新聞、インターネット上でもダイエット関連の情報があふれ、人々のダイエットに対する関心の高さがうかがえます。
一昔前は、ダイエット関連の広告などで「〇日で〇kg痩せる!」「この商品を飲むだけ」と言ったような広告を目にした経験を持つ方も多いのではないでしょうか?しかし、現在では、そのような広告は規制され「痩せる」「細くなる」「代謝促進」などのワードはNGとなっています。
広告が規制された背景には薬機法(旧薬事法)が関係しています。詳しくみていきましょう。
薬機法とは、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。この法律は1960年に公布され1961年から施行されました。当初は「薬事法」と呼ばれていましたが、2014年に一部が改正され現在は「薬機法」と呼ばれています。
薬機法は医薬品や医療機器等の品質や有効性、安全性を確保し保健衛生の向上を図ることが目的です。薬機法の規制の範囲は医薬部外品や化粧品などにも及びます。同業者からの情報提供や消費者からの通報、行政のパトロールなどで、違反が発覚すると、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこの両方が科せられます。
また、行政指導により違法状態の是正を命じられ報告書の提出を求められる場合もあります。薬機法の規制の範囲が、医療品や化粧品などであれば、ダイエットには関係ないと思ってしまいますが、サプリメントのような健康食品は薬機法に抵触する恐れがあるので注意が必要です。
例えば、健康食品に医薬品にしか使えない成分を使ったり、医薬品のような効果や効能を謳ったりすると、薬機法の広告規制に触れてしまい違反となってしまいます。
広告というと、チラシやテレビ・ラジオなどのCMなどを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?広告規制の対象となる「広告」は景品表示法に基づいているため、商品の容器や包装、パンフレットやウェブサイトなども対象に含まれます。
そのため、広告を取り扱う業者だけでなく、商品を製造・販売する事業者も表示方法には注意しなければいけません。
また、景品表示法の広告の概念には「口頭による広告」も含まれます。つまり、店舗などで営業担当者が説明する内容も広告に含まれるということになります。従業員に対しても法令遵守の教育が求められるでしょう。
ダイエットサプリメントのような健康食品の場合は、含有成分をチェックしましょう。含有成分に医薬品として使用される原材料があると、薬機法では医薬品に該当してしまいます。薬機法では、未承認の医薬品の広告は禁止されているため、健康食品のつもりで販売しようとしているサプリメント自体が販売できないことになるでしょう。
特に海外からの輸入品は、販売者が知らない成分が含まれているケースもあるので気をつけましょう。含有成分はしっかり確認することが重要ですね。食品が持つ効果や効能を表示できる食品には「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」などの保健機能食品があります。
「おなかの調子を整える」「脂肪の吸収をおだやかにする」などの機能性を事業者が表示できる「機能性表示食品」などであれば問題はありませんが、食品に対して医薬的な効果や効能を表示していると、薬機法では医薬品として扱われます。
効果や効能を表示したい時には、薬機法に触れない表現にすることになります。例えば「ダイエット」というワードそのものは薬機法には触れません。身体に具体的に作用する表現は避け、抽象的に「栄養補給」「健康維持のために」というような表現を用いると良いでしょう。
健康食品の広告をチェックするには、薬機法の他にも「景品表示法」「健康増進法」にも配慮しなければいけません。景品表示法の広告規制は優良誤認を規制するものがあります。優良誤認とは、実際の効果と異なる広告表現をしてはいけないというものです。
景品表示法に違反した場合には、消費者庁から措置命令が下されます。従わない場合には「2年以下の懲役又は300万円以下の罰金」が科されます。また、2016年からは課徴金制度が導入され、課徴金の対象となった商品やサービスの売上額の3%の課徴金が課されます。
健康増進法でも、事実に相違する表示は規制されています。
ダイエットサプリメントなどの健康食品では、利用した人の体験談や口コミが広告に用いられるケースがあります。ただし、体験談であっても広告を見た人の判断を誤らせるようなものは違反となってしまいます。例えば、実際は利用していない架空の人物の体験談である場合や、実際の体験談でも製造元や販売元に都合の良い部分だけを掲載している場合、効果を感じられない体験者が多いのに効果があったという体験談のみを掲載しているような場合は違反となります。
体験談を広告に使用する際には、実際に利用した人の調査を行う必要があります。体験した人の総数や年齢や性別などの属性、効果が得られたかどうかの割合などの情報を表示し、広告を見た人が正しく判断できるようにしておくことが大切です。
また、「個人の感想です」「効果には個人差があります」といった打消し表示があれば規制に違反しないという考えもありますが、打消し表示があるからといって広告を見た人の誤認が解消されるとは限らないため使用する際は注意が必要です。
ダイエットサプリメントは、広告によって売上が左右するとも言われています。ダイエットサプリメントは健康食品と位置付けられますが、広告については薬事法(旧薬事法)」や「景品表示法」「健康増進法」に則った表現が求められます。
広告が法律違反とならないためにも、それぞれの法令について知っておくことが必要となります。